ARMS

皆川亮二、原案協力:七月鏡一による日本の漫画。およびそれを原作としたアニメ、ゲーム。「週刊少年サンデー」(小学館)にて連載されていた。
第44回(平成10年度)小学館漫画賞受賞。

エグリゴリ


巨大な軍産複合体を背景とする極秘組織で、世界中にそのネットワークを張り巡らせている。おそらく米国の国防省やCIA、軍需企業などが主体となって組織を維持しており、公開実験にはアメリカ合衆国国防長官も招かれていた。作中では、アメリカ合衆国大統領にとってもむやみにエグリゴリに触れるのはタブーで、かの第三十五代大統領は、エグリゴリの情報を世間に公開しようとしたために暗殺されたことをほのめかすくだりがある。

第二次世界大戦終結直後、核兵器による絶滅の危機に常に瀕している人類にとっての進化による生存、絶滅に続く第3の選択肢、「種の人工進化」を提唱したキース・ホワイトによって、ナチス・ドイツや旧日本軍の技術も取り入れられ、「プロジェクト・ARMS」が開始された。高槻達の前に立ちはだかったサイボーグ、超能力者、ミュータントは、ARMS 研究の一環として非人道的な人体実験を繰り返すことによって生み出され、兵器とされた彼らを各国政府、軍に提供する見返りに、研究への支援を受けていた。

その名の由来は、エノク書にて禁断の知識と技術を人間に与えた堕天使エグリゴリから。



あらすじ


* 第一部「覚醒編」

主人公の高槻涼は、普通の高校生として幼馴染の赤木カツミと平和な日常を送っていた。しかし転校してきた新宮隼人の存在によってその日常は揺らぎ始める。隼人の左腕には「エグリゴリ」という組織によって「ARMS」という兵器が移植されており、それは涼の右腕にも移植されていたのだった。同じく両足にARMSが移植された巴武士と、エグリゴリを裏切った天才少年のアルも加え、ARMSの手がかりを探るべく、エグリゴリによって滅ぼされた隼人の故郷・鐙沢村へと向かう。そしてそこには彼らの出生にまつわる驚愕の真実が隠されていた。


* 第二部「邂逅編」

鐙沢村でカツミを失って以来、涼は自暴自棄に陥っていた。そこに4人目の「ARMS」の所持者であり、カツミと瓜二つの少女・久留間恵が現れる。そしてエグリゴリに対抗する組織「ブルーメン」との出会いを通し、カツミが生きている可能性に希望を見出した。しかし、エグリゴリは街全体を巻き込んだ大規模な作戦を画策していた。そして、隼人の父親の仇であるキースの秘密が明かされる。


* 第三部「進化編」

舞台はアメリカ・アリゾナへと移る。ギャローズベルにて出会った、アルのかつての同胞である「チャペルの子供達」と「猟犬部隊」との戦いを経て、ARMSの起源であるアザゼルの存在を知ることとなる。そしてカツミの真実も知ることとなるのだった。


* 第四部「アリス編」

涼たちはエグリゴリを潰すために行動を開始。ニューヨークにて、エグリゴリの頭脳である科学者サミュエルを拉致する。そして、彼の口からARMS誕生の鍵を握る「アリス」という少女の物語が語られる。
そして遂に、涼達とブルーメン対エグリゴリの決戦が始まる。


* 第五部「帰還編」

エグリゴリは壊滅し、ARMSの力も消滅した。カツミを奪還することに成功した涼たちは遂に日常へと戻ることができた。しかし、エグリゴリの残党狩りを行なっていたブルーメンは不吉な言葉を耳にする。それは彼らの日常を再び奪う言葉だった。そしてカツミの体内では新たなARMSが誕生し、「プログラム・バンダースナッチ」が発動しようとしていた。
新たな脅威が生まれたことを知った涼たち。ARMSの力を失った彼らにあるのは、涼の父、巌から託された「ジャバウォックの爪」のみ。地球滅亡へのカウントダウンが始まった。


概要


「事故」や「事件」に巻き込まれて失った身体の一部に、義手や義足ではなくナノマシンの集合体を移植され、それにより世界規模の陰謀に巻き込まれて行く少年少女たちの物語である。物語のモチーフとして、『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』などのルイス・キャロル作品が用いられている。

2001年4月から2002年3月にかけて『PROJECT ARMS』(プロジェクト アームズ)のタイトルでTVアニメ化され、テレビ東京にて4クールに渡り放映された。


巴武士(ともえ たけし)


声 - 上田祐司(現・うえだゆうじ)

隼人に続き訪れる転校生。「勇気」の意思を示すオリジナルARMS"ホワイトラビット"(白兎)を移植されており、自身の出生の秘密を知るために涼たちと行動するようになり、自身の運命に立ち向かう。

幼い頃、妹をかばい交通事故に遭い、両脚を失うほどの怪我をした後にARMSを移植され、さらに自身が両親の本当の息子でないことを知らされたショックと異形の脚に怯えて、自分を含めて全ての者に対して敵対心を持っていたが、涼や隼人に出会い、心を開いていくようになった。性格面では多少臆病な面を持つが、その後は、仲間や大切な人々を守る為にエグリゴリとの戦闘に身を投じていく。

人間の領域を超えた抜群の反射神経と運動能力の持ち主であり、自身の両脚のARMSの脚力・飛行能力と併せて空中戦や高速移動も可能とする。

名前の由来は『ゲッターロボ』シリーズの登場人物『巴武蔵』から。


新宮隼人(しんぐう はやと)


声 - 三木眞一郎

涼の高校にやって来た転校生。「仁愛」の意思を示すオリジナルARMS"ナイト"(騎士)を移植されており、自身と同じ境遇である涼との出会いによって彼もまた自身の出生に関わる大きな戦いへと立ち向かうこととなる。

幼い頃、 故郷の鐙沢村(あぶみざわむら)をエグリゴリに攻撃され、彼以外の全村民が殺され、目の前で父親の新宮修一郎を斬殺、自身の左腕も切断された過去を持つ。気絶している間にARMSを移植され、祖父に引き取られた後は父親を殺したキースとエグリゴリに復讐するために憎しみのままに彼らを捜していたが、涼達と出会い少しずつ成長を重ねていく。ナイトはジャバウォックの暴走を止める為の『ARMS殺し』とカウンターとしての使命を委ねられており、最悪の場合、相棒であり親友である涼を殺さねばならない運命に苦しむ。

ARMS中最も硬いと言われるブレードを持つ左腕のARMSを使って戦う他、祖父に習った古武術の使い手であり、戦いの中で成長を重ね、涼と並んで前線に立って敵に立ち向かう。

名前の由来は『ゲッターロボ』シリーズの登場人物『神隼人』から。


高槻涼(たかつき りょう)


声 - 神奈延年

本作の主人公。「憎悪」の意思を示すオリジナルARMS"ジャバウォック"(魔獣)を移植されており、彼の出生に関わる大きな戦いに巻き込まれていくこととなる。ただし本人はエグリゴリの工作による事故で右腕を失いARMSを移植された後も「平凡な高校生」だと思い込んでいたなど、事件が表面化するまで気付かないほどに偽装されていた。

性格は人当たりの良い普通の若者といった風だが、父親の教えもあって冷静沈着でシビアな判断力の持ち主でもある。また、過酷な戦いの中でも人間らしさを失うまいとする強靭な意志力の持ち主でもあるが、自身に宿ったジャバウォックの禍々しい力、それが常に囁きかける強烈な破壊衝動と葛藤し、立ちはだかる巨大な運命に苦悩し格闘していくことになる。

絶大な破壊力を持つ右腕のARMSに加え、当人は全く知らなかったが、世界屈指の傭兵の両親を持ち、幼いころから父親にサバイバル技術を叩き込まれてきた。父親譲りの格闘術、トラップの腕前もかなりのもので、特にトラップの腕前は「軍隊でもここまでの腕前のものにはお目にかかれない」「タチが悪い」「えげつない」とたびたび評されている。

名前の由来は『ゲッターロボ』シリーズの登場人物『流竜馬』の愛称『リョウ』から。